上高地 徳澤園のブログ

月: 2016年12月

御披露目

例年より寒暖の差が激しい今年。松本市内でも朝は氷点下を下回る日もあり厳しい冬がやって来ました。

まだ、徳沢では最終工事を行っており日々大工さんが頑張って新しい相部屋を作ってくれています。

ただ、タイムリミットも近く今の徳沢はこんな感じです。

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そして、まだ完成には少しかかりますがその一部をようやく皆様に御披露目致します。

残りの工事は来春。

残雪が少ないことを祈るばかりです。

出来ました相部屋は一人ボックスタイプ。広さも十分確保出来ました。

二階専用階段も登りやすい広さを確保。

昨年より多少定員が下がりますが快適度はかなりアップしました。

インテリアは世界各国の国立公園のポスターが張られ落ち着いた中にも華やかさ、そしてワクワク感を感じられたらという思いで飾ってあります。

来春。新しい山小屋スタイルのお部屋がオープンします。

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イギリス

ロンドンまで飛行機で13時間。その後乗り継いで2時間。スコットランドは果てしなく遠い国でした。

スコットランド。

羊とのどかな風景くらいの印象で全く馴染みがありません。

が、イギリスでロンドンと並ぶ観光地、岩山にそびえ立つエディンバラ城があります。

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昨日までの疲れもぶっ飛ぶ有名観光地。やっぱりベタっていいですね…。

上高地に来たら、好き嫌い関わらず、河童橋に立ち穂高を背景に写真を撮る。

旅人になり、改めて河童橋に感謝。人間、想像していた景色を目の当たりにすると俄然旅に出ている実感が湧きます!

さて、スコットランドの見所は、湖水地方の風景と昔ながらの建物。適度な緑の村に小川が流れ、古い建物が立ち並ぶ。グリム童話の世界です。有名なのは世界一美しい村と称されるコッツウォルズ。

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日本は木の文化で、ヨーロッパは石の文化。残念ながら、木の文化は耐久性に限界があり、日本の文化はコンクリートに変わってしまいました。

夢の中のような景色の中、私の頭の中で、現地の人はどう思っているのか本音を聞いてみたいと思っていました。一世紀以上使っている建物も多くあり、不便や立て付けなど不満もありそうです。実は、コンクリートに、憧れていたりするのでは?

これは、私と同じ悩みでして、古いものは大切で出来たら残さなければいけない。ただ、利便性を考えると今のものがいい。ただ、そこを追及して、建て直したりすると、旅人からは昔の面影がどうのだとか風情がなくなったなどと言われてしまう。

共に観光でお客様が訪れる場所なので悩むことは共通しています。英語が達者であればスコッチを片手に徹夜で語れそうです。

リバプール。

こちらはとても都会です。そして、リバプールといえばビートルズ!町中その形跡を感じるゆかりの場所が溢れています。

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近代音楽の象徴ですが、もうすでに文化の域に達していて、奇抜なロックテイストでありますが、年配の方にも受け入れられる独特の雰囲気です。

文化。

文化にも触れてきました。一つはアフタヌーンティー。これは、14時くらいにとるお茶会のようなもので、とてつもなく甘いお菓子やケーキと紅茶を二時間ほどかけて楽しむ文化です。二時間お茶を、飲む。日本人には理解し難いと思いました。

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もう一つは、宿泊でマナーハウスに泊まりました。マナーハウス。分かりやすくいえば、大金持ちの地主の大邸宅。

その日、ホテルに入ったのは完全に陽が落ちた夜。森の中をバスを走らせ出てきた大邸宅。

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完全にディズニーランドのホーンテッドマンションです。

中に足を踏み入れると、外観だけでなく、内観までも当時のままです。

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栄華を極めた貴族とそれに尽くした人の歴史。そして、その終焉。など、歴史の興味と恐怖が入り交じります。

少し寝付きの悪い夜でしたが、翌朝、窓からこんな景色が広がっていました!

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これは、このホテルの庭です。見渡せる範囲は、全てホテルの庭です。

よくよく建物を見てみるととてつもなく大きい。

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日本の地主とは桁違い。昨日までの恐怖はぶっ飛び尊敬にすら値します。

とても貴重な体験ですし、やはりその土地の文化を興味を持たせるには、その人の心を良くも悪くも揺さぶらなければならないことを実感。とても、勉強になりました。

ロンドン。

ヨーロッパ最大の都市ロンドン。大英博物館、バッキンガム宮殿、セントポール大聖堂、ビックベンなど見所満載です。

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スタッフたちも買い物に観光にと大忙し。

そして、最終日の夜。

ロンドンはミュージカルの本場。ウェストエンドという、ニューヨークでいうブロードウェイのような地区があります。皆、おしゃれをしてミュージカルを見に行きました。

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見たのは、映画にもなったチャーリーとチョコレート工場。英語が苦手なスタッフと私は日本で映画を観てストーリーを覚えてきました。

とても、リッチな気分に浸り旅の最後の夜が終わりました。

若旦那

彼女たちの感想です。

わたしはイギリスの建物が好きです。
とにかく古い、でもキレイに丁寧に、大切に手入れされていて素晴らしいと思います。
きっと新しいものに替えようなんて微塵も思ってないでしょう。

古き良き、なんて言うけど実際日本でひいばあちゃんの時代から今も現役で使ってます、なんてものウチにはありません。
新しい方が便利に決まってるから。
でもイギリスにはもっと古いものが当たり前のようにあって、現代の暮らしに違和感無く溶け込んでる。

こんな暮らしも悪くない、とちょこっと考えました^ ^
(1年目ヨッシー)

自分の知らない場所、歴史、景色にとても心を震えさせられ刺激をもらいました。
正直イギリス自体にそこまで感心があったわけではないのですが、体験することでその場所をとても好きになり興味が湧きました。
建物の歴史だったり、伝統だったり本物を守り抜くという事、さらに時代の変革にも順応して、受入れながら進化していく事を長い歴史を見る事で改めて感じました。

人の心を震わせれる事が出来ればその人の中で記憶に残る=また行きたい、会いたいと思う。接客に通じるのではないかと思いました

まだまだ感動できる心を自分は持ってると再認識できた旅でした。
チャーリーにあんなに感動するとは思ってもみませんでした。
(1年目イッチャン)

その1,旅は一瞬。
その2,自然の景色や、受け継がれるものに勝るものはない。
その3,人の満足度を上げるのは人である。

一瞬にすぎる時間をいかに無駄にせず、価値あるものにするか。
これは自分自身だけでなく、お客様に対しても言えることだと感じました。
また、私にとって価値あるものは一時しのぎの流行より、末長く続くものであると再認識。
大切にしていきたいと実感しました。
最後に、想いをもって働く人は、仕事を楽しみ、キラキラしてる。
来年キラキラと働き、仲間や沢山のお客様の笑顔を見たいと思いました。
(1年目鈴ちゃん)

連れて行って頂けただけで感謝なのに。。。

でも一応…
イギリスで感じこと

やっぱ大聖堂は心が洗われた!

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PS:なんかみんな立派な事書きすぎて、文章力のないナミちゃんは後に続けないっす…徳澤の品格が落ちるといけないので私のコメントはブログに載せなくていいですので!笑
(3年目 ナミ)

百聞は一見にしかず!すっかりイギリスの虜です!
イギリスの歴史、建物、文化、そしてこの徳澤園メンバー
「BRILL!AMAZING!! FANTASTIC!!!」
(アメリカ英語をかじっていたのでこれを機にイギリス英語も勉強しようと思ったくりでした。)
(3年目 クリ)

今回の旅行で一番感じたのは、伝統を守る、ということです。
街並み、建物、宗教、文化、食事、お土産に至るまで、色々な所で感じました。
だからか印象は少し地味です。
でも、本質を大事にしてその物に誇りを持っている所はすばらしいです!
特に、コッツウォルズ地方の街並みは、何百年も前からずーっと変わらず美しいまま。
うっとりです。
変わらない良さ、守っていく事の大切さ、という事を再認識した旅でした。
そして、一緒に働く皆んなで旅行するって、本当に楽しい!
ありがとうございました!
(6年目 チヒロ)

綺麗に保ってる田舎町の風景がとっても好きでした。
マナーハウスやエジンバラ城、バッキンガム宮殿では昔の貴族の生活が知りたくなり、大英博物館ではエジプトへ行きたくなりました。食事も美味しいし、コンパクトだし、また行きたい!というよりは住みやすそうという印象です。
(6年目優子)

自然だけでなく、建築物をはじめとして歴史を肌で感じることができました。

バス移動では、北海道以上に感じられた雄大な景色の中で常に羊が草を食べていたのが印象的でした。

アフタヌーンティでは食べきれないほどのスウィーツが並んでましたが、帰国した今「あの時全部食べておけばよかったな」と後悔する日々です。

マナーハウスに宿泊できたことは結構衝撃的でした。広いという概念を超えて、むしろ怖いくらいでした。

ロンドンでは洗練されたファッションを身に纏った人が何人もいたこと、そこに居るだけでも楽しい時間でした。

本当にいい経験を毎年ありがとうございます。
(10年目 あき)

必然性

数年前から始まったスタッフ海外研修。今年で第4回。1回目はハワイ。2回目はプラハ、ウィーン、ブダペスト。3回目は、グランドキャニオン、ラスベガス。来年も共に働くメンバー中心に行っています。

当園にとってハード面を整えること以上に、ソフト面に投資をすることの必然性は、人材不足がいわれる今でこそ最重要です。

サービスを仕事にするものが、サービスを受ける機会がないでは、寿司屋が寿司を握る機会がないと同じこと。いいサービスをできる訳がありません。

続けてこそ意味がある。

とお得意の口八丁で社長を説得し今年も行ってきました。

今年の研修先は、スコットランドからイングランドのロンドンまで南下するコースです。

今年は、遠すぎて飛行機に耐えられないと女将不参加。私が引率。そして、女子8名。合計9人の旅です。

周りから見たら怪しすぎる集団です。

なぜ、イギリス。

これを、理由つけるのには苦労しましたが、ここ数年やっていますリニューアル。家具やステンドグラスなんかはイギリスのアンティークを使用しています。また、当園に使っている壁紙や洋室Aタイプのインテリアは、イギリスのデザイナーウィリアムモリスのものです。

これくらいで許してください…。

この旅で本物に触れ、彼女たちが何を感じ、何を良しとし、サービス業に喜びを見いだせるかが一番大切なことです。

山小屋

松本もコートが手放せなくなり冬を迎えています。

実は今年は一週間に二回ほどまだ徳沢に通っています。

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というのも極寒の徳沢でまだ工事をしています。

上高地。

河童橋周辺は高級ホテルが立ち並び、値段が高いホテルが人気です。

当園を流れに乗るべく近年洋室をリニューアルしたりもしました。

お陰さまで洋室は人気のお部屋になりました。

ただ、上高地はそもそも登山基地として登山者に育てて頂いたということを常々社長は言います。

登山は趣味。何度も足を運んでもらわなければいけないから、リーズナブルで快適で気楽な相部屋が必要と女将は言います。

私も上高地に戻り10年以上がたち、お客様とたくさん話し、時にはお客様のひそひそ話にまで耳を澄ましました。

来年は相部屋をリニューアルします。

相部屋。

今の世の中で相部屋を探す方が大変です。最近はご夫婦でも別々でお部屋を取れますか?という質問さえ受けます。

相部屋が嫌で登山をしない人も実はたくさんいます。(特にはじめての登山で富士山に登った人。富士山の相部屋というか山小屋で散々な目にあってしまい…)

私も出来たら個室があれば個室を利用します。

そんな、生の意見を10年以上意識しながら考えながら聞いてきました。

山なんだからしょうがない。と片付けてしまえばそれまでなのですが、今の当園の立地、求められるもの、客層から考えたら最も真剣に向き合わなければならないものでした。

相部屋を嫌がる理由。

男性と一緒の空間で寝るのが抵抗がある。

イビキがうるさい。

暑い。(これはお客様は寒さ対策はしてこられていますが暑さ対策はされていません。寒いというクレームはありませんが、たくさん人が入るので暑いというクレームはよくあります)

二段ベッドタイプだとはしごを使うのが嫌だ。

寝付きの悪い人が夜中まで携帯をいじっているのでその光で寝れない。

そもそも知らない人が仕切りもない隣で寝ているのが嫌だ!

挙げればきりが無いのですがこのような意見は当園だからというわけではなく、山小屋全てに共通した声です。

理由は、相部屋だから。

そんな意見をなるべく解消する相部屋を作ろうとしています。

たくさんの旅館やホテルを見てきました。海外でも研修してきました。

一番参考になったのはやはりカプセルホテル。日本の新しい文化ですし海外からも注目されている業態です。

そして、飛行機のビジネスクラス。これは、まさに悩みが一緒で狭い空間で長い時間快適に過ごしてもらわなければならない。もちろんすぐ隣には他人が寝ている。とまさに山小屋の相部屋と同じ状況です。

新しい相部屋の特徴。

一人一人のボックスタイプになり、仕切りで隣の方と隔離されています。大きさは横幅約1m。縦2.2mとかなりゆったりしています。

二段ベッドタイプで上の段の方もいますが、はしごを使わず全て上段専用の階段をつけました。

相部屋のお客様にはイビキ対策として耳栓。光対策としてアイマスクがつきます。

空調を整える予定です。

部屋の雰囲気は決まっていますがこれはもう少し完成が近づいたらお見せします。いつも通り無駄にこだわってみました…。

山小屋なのにここまでしてもという格闘がありましたが、近年の山岳事故なんかは疲労から起こりうる事故もあります。

当園は翌日、日本を代表する山を目指す方々がお泊まりになります。日帰りで高尾山に行くのとは違います。

ゆっくり体を休め万全な体制で翌日に備える。

雨が降ってしまったら近代山小屋という文化を楽しんでもらう。

ここ数年で一番のチャレンジですが皆様に受け入れてもらえるように気合いを入れて最高の相部屋を作ってみます!