子供の頃の海の思い出がありません。恐らく私の二人の弟たちもないと思います。そして、夏休みの思い出は、他の子供たちとは全く違った思い出ばかりです。

私たち三人の野生児は、夏は当たり前のように上高地に連れてこられます。

ある意味とてもいい時代でした。

山の中にいる野生児を不敏だと思い、心優しいお客様が遊んでくれます。見ず知らずの方が、山に連れて行ってくれます。両親も何も疑うことなく送り出します…。

学校も行けずにかわいそうにと勉強を教えてくれる人まで現れます。

夏休み名物の朝のラジオ体操。勿論三人です。しかし、肝心のラジオが入りません。

夏休みには、学校のプールに通い判子も集めるということを、他の子供はしてました。私たち三人は、水温4度の梓川という流れるプールに通いました。判子を集めるのが命懸けです。

夏期講習というものにみんな通っていました。夏休みが終わりに近づくと、私たちは隣にある徳沢診療所に通わされます。現役の医大生が、宿題を終わらせてくれました。お陰で夏休みの宿題を間違えたことがありません。教えてくれた学生には、女将がお礼に岩魚を配ります。

日記の宿題がありました。三人とも毎日、「今日山に行きました。」という書き出しから始まります。

冬になると、母親の故郷である天草に行きました。白い砂浜に、風に揺れるパラソル。ヤシの木があるビーチを想像をして初めて見た海は、漁船が並び、鰯を釣る人が点在するビーチ。お母さん。ここは、ビーチではなく漁場です。

そんな幼少期を過ごした私は海に行くと何をしたらいいのか分かりません。

海を見たら異常に興奮する。しかし、いざ海で遊ぼうとすると、どこで盛り上がったらいいのか分からない。これは、信州人あるあるです。

山の子だけど海の良さも我が子には…。

というわけで、春休みを利用して海に家族旅行に行ってきます。

ランカウイ島。「何もしない贅沢」というキャッチフレーズが、どこか当園と共通するのではないかと思い、勉強がてら家族サービスして来ます。